PS 100pieces 11-20☆11舳先にたち 海原を抱える 波を越える舟ともに 逸る魂 どこへゆこうとも ただ 結ばれし先は かの人のもと 「わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ 海人のつり舟」 ☆12 風かおる季節に 色香漂う 舞姿 流れる あの浮雲に乗り ともに行こう 麗しき世界へ 「天つ風 雲のかよひ路 吹きとぢよ をとめの姿 しばしとどめむ」 ☆13 気まぐれに ぽとりと落ちた一滴に よもや 大河の萌芽があろうとは 誰知らぬまに 溺れゆく 甘く芳醇なる 恋の淵 「筑波嶺の みねより落つる みなの川 恋ぞつもりて 淵となりぬる」 ☆14 もぢ摺りの 衣のごと この身に纏った 乱れ模様 真っ赤に 染めたのは 我か そなたか 「みちのくの しのぶもぢずり たれ故に 乱れそめにし われならなくに」 ☆15 峻烈に 指先から 全身を走る 青きエナジー 冷たき 白き雪ゆえか つれなき 若き君ゆえか 「君がため 春の野に出でて 若菜つむ わが衣手に 雪は降りつつ」 ☆16 宵待ち草 捧げもち うつむき 我を想う君ありと ただ信じて 峰を越える 我を抱く胸 いまだありや なしや 「たち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば いま帰り来む」 ☆17 深秋に 紅染みつつ すこし散り透く 水底に ゆらゆら うごめく いにしえからの 魔魅の影 唐衣を敷き詰めた 涼しき水 くれないに 浮かぶかげが いつまでも ついてくる いつまでも 追ってくる 「ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 からぬれなゐに 水くくるとは」 ☆18 夜の雑踏に 紛れてたたずみ 幾千もの足音が うねるのをきく 近づき 重なり また去ってゆくのが定めなら 逢わぬままに 夢路も断つと? 「住の江の 岸に寄る波 よるさえや 夢の通い路 人目よくらむ」 ☆19 短夜の そのまたひと時も 露も逢いみることの 叶わぬときは たゆたう波間に 身をのせて 運びゆこうか いまこの瞬間に 「難波潟 みじかき芦の ふしの間も 逢わでこの世を すぐしてよとや」 ☆20 波濤にて 砕きに砕けば 見えなくなるのか 軽くなるのか 君に届くものならば この思い 海原に撒こう 消えゆく前に 「わびぬれば 今はたおなじ 難波なる みをつくしても 逢わむとぞ思ふ」 ジャンル別一覧
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